『ナショナル・トレジャー2 リンカーン暗殺者の日記』レビュー

テンプル騎士団の秘宝を求めてアメリカ国内を駆けずり回る冒険を描きスマッシュ・ヒットとなった映画『ナショナル・トレジャー』の続編が登場した。

───リンカーン暗殺者の日記から切り取られて行方不明になっていたページが発見された。そのページには、暗殺の首謀者がトーマス・ゲイツだと読み取れる記述があり世間を騒がせる。祖先の潔白を信じるベン・ゲイツは日記に隠された暗号から真実を追うが───

秘宝探索と言えばピラミッドなどの遺跡が舞台となるのがお約束だが、前作『ナショナル・トレジャー』はアメリカ独立記念館のような身近な建造物を舞台にしたのが斬新だった。本作もリンカーン大統領を暗殺したジョン・ウィルクス・ブースの日記を皮切りに誰もが知っている歴史的物品に暗号が隠されているのが面白い。

はっきり言って前作よりも出来栄えは劣るのだけど、暗号の数珠繋ぎを解きながら次々と観光名所を巡る楽しさは従前通り。お気楽娯楽作と割り切れば及第だろう。なんせ『ナショナル・トレジャー』シリーズはディズニー映画なのだ。だから登場する悪役も根っからの悪人ではない。現実社会に蔓延る「悪意」を綺麗さっぱり取り除いた甘口映画だ。おまけにテーマは「家族の再生」。刺激は無いが、ファミリーで気楽に観るお正月映画としては打って付けだ。

ちなみに『ナショナル・トレジャー2』は、続編を避けていたニコラス・ケイジが初めて出演した続編映画でもある。彼のファンならば、これだけで劇場に足を運ぶ価値があるのでは?斯く言う私もニコラス・ケイジの大ファンなので本作を鑑賞した。ニコラス・ケイジは「ちょっとおかしな人」を演じさせると天下一品。本作でも「夫婦喧嘩をしている酔っ払い」の振りをするシーンでその片鱗を味わえるので注目してほしい。

次作への伏線をきっちり残した本作。息の長いシリーズになるやもしれない予感をさせる佳作である。

評点(10点満点)

【6.5点】秘宝を発見したときのカタルシスが前作に比べて物足りない。

シリーズ

余談

当レビューでは便宜上『ナショナル・トレジャー2』と表記しましたが、実際にはナンバリングなしで、副題の『リンカーン暗殺者の日記』が追加されているだけです。

同じく副題のみで区別する『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズもプロデューサーが本作と同じジェリー・ブラッカイマーなので、彼の趣味なのかもしれません。しかし、ぱっと見で順番がわからないので、シリーズが続いていくとちょっと不便ですよね。

タイトル:
『ナショナル・トレジャー2 リンカーン暗殺者の日記』レビュー
カテゴリ:
映画
公開日:
2008年01月04日
更新日:
2018年05月30日

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