『CASSHERN/キャシャーン』レビュー

予告を観た感じでは、とても面白そうでもあるし、凄くつまらなそうでもある。そんな映画なので、期待半分、不安半分で鑑賞。結論から言えば、なかなか楽しめる佳作でした。

───終わりの見えない戦争がつづき、荒れ果てた世界。そんな中、人間のあらゆる部位を自在に造り出す"新造細胞"の実験場で未知の異変が起きる───

数あるレビューで叩かれているほど『CASSHERN/キャシャーン』は酷い作品ではないです。ただ、大衆向けではありません。ストーリーは寸断され、まったくもって取り留めがなく、明確な軸が見えてこない。体裁こそ娯楽映画だけど、実際は実験的なカルトムービーのようです。しかも狙ったのではなく、構成力と予算が足りなくて結果的にそうなってしまった感じがします。これでは主演の伊勢谷友介さん目当てで劇場に足を運んだ、普段あまり映画を観ない人には受けないでしょう。一般受けする大作として封切られた以上、失敗作扱いになるのは仕方がないかもしれません。

だからといって、切り捨てるには勿体無い映画でもあります。確かに諸手を挙げて褒めることはできない作品だけど、映画的情熱を強く感じさせます。ビジュアルイメージなど、目を見張る要素もそこかしこにあります。2時間テレビドラマスペシャルのような邦画が多い中で、少なくとも『CASSHERN/キャシャーン』は"映画"になっていた。そして、こういう作品を応援していかないと、邦画は前へ進めない気がします。

評点(10点満点)

【5.5点】予算と制作期間がもっとあれば、傑作に化けていたかもしれない。

タイトル:
『CASSHERN/キャシャーン』レビュー
カテゴリ:
映画
公開日:
2006年09月23日
更新日:
2018年05月30日

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