『スパイダーマン3』レビュー

───遺伝子を操作された特殊なクモに噛まれ、超人"スパイダーマン"になったピーター・パーカー(トビー・マグワイア)。今ではニューヨークのヒーローになったスパイダーマンに宇宙から飛来した生命体が近づき───

シリーズ前二作が傑作だった『スパイダーマン』の新作とくれば、普通なら期待しない訳がない。しかし公開を待つうちに聞こえてくる評判は悪いものばかり。なんせ映画評論家たちばかりではなく、あのジョージ・ルーカスが 「くだらない映画。中身がない。ほとんどストーリーがないじゃないか」とコメントしたと言うのだから、さすがに期待より不安が上回る。

さて、そんな不安を胸に劇場に足を運んだのだけど、いや、そこまで悪くない。ただ残念ながら、前二作を上回る映画ではなかった。二時間半の長丁場は冗長なのに舌足らずで、物語の詰めの甘さが随所に顔を出す。

ではアクションや映像面はどうか。映画『スパイダーマン』シリーズの見所といえば、スパイダー・ウェブを使ってビルの谷間を空中ブランコのように滑空する、疾走感と浮遊感を併せ持ったシーンだろう。それは、今まで見たことのない、まったく新しい映像体験で、自分が実際に飛んでいるような感覚が鑑賞後もしばらく体に残るような優れものだった。『スパイダーマン3』には、そういった滑空シーンがほとんどない。そのぶん新しい試みに挑戦しているが、スパイダー・ウェブでの滑空に及ぶ映像体験はない。

と、まあ散々文句を書いたが、既に述べたように悪くはない。『スパイダーマン』シリーズは傑作が続いたので、評価基準を高くしているからこその苦言。そんじょそこらの映画では見ることのできない映像が満載だし、アクションだけが売りの空っぽな映画でもない。細かいことに文句を言わない心の広い人なら、観ておいて損はしない一本だろう。

評点(10点満点)

【6点】シリーズのファンなら取り敢えず。

タイトル:
『スパイダーマン3』レビュー
カテゴリ:
映画
公開日:
2007年05月15日
更新日:
2018年05月30日

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