『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』レビュー

ティム・バートンとジョニー・デップの二人は、ハリウッドの異端児でありながら近作で大きな興行的成功を収めメインストリームに躍り出た。華麗な「共犯関係」として多くの映画ファンが信頼を寄せているバートン&デップ印のフィルモグラフィーの6作目が『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』だ。

───時は19世紀。ロンドンのフリート街で理髪店を営むベンジャミン・バーカーの幸せな日々は、ある日突然打ち砕かれた。バーカーの美しい妻に横恋慕した悪徳判事タービンに無実の罪を着せられ島流しの刑に処されたのだ。15年後、スウィーニー・トッドと名前を変えてロンドンに戻って来たバーカーの復習が始まる───

とくかく冒頭から歌いまくりで通常の台詞回しは殆どない。全編歌唱で物語を紡いでいき、ミュージカルであることに徹底している。となると歌が吹き替えでは収まりがわるいが、本作はすべての役者が自分で歌っているので違和感なく歌を堪能できる。ジョニー・デップが実に堂々たる歌声を披露しているのは、彼のファンにとって嬉しいサプライズだろう。

さて、ミュージカル映画といえば豪華絢爛なのが常だが、『スウィーニー・トッド』は色彩を極端に抑え、またブロードウェイ風の大仰な演出も避けたことでいくぶん地味な仕上がっている。華やかさにもダークさにも欠ける煮え切らなさを感じた。首を掻き切るようなシーンがふんだんにあることだし、いっそ暗黒のゴシックホラーが如く突き抜けたビジュアルイメージで観たかった。

とは言え、「残酷だが、ファニー」なんて具合に相反する要素が同居する、ティム・バートンの持ち味は生かされているし、商業性と作家性のバランスもとれている。『スウィーニー・トッド』は、ティム・バートンにシンパシーを覚える人ならば、押さえておくべき手堅い映画である。

評点(10点満点)

【6点】ゴス好きにおすすめ。

タイトル:
『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』レビュー
カテゴリ:
映画
公開日:
2008年02月17日
更新日:
2018年05月30日

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