『サマーソニック05』レポート

 サマソニ05東京一日目

今年もサマーソニックに参戦。特別に観たいアクトがあるわけじゃないけれど、ノリで行くことにする。去年も同行したnoizeattackの管理人さんと「今年も行くでしょっ!!」って感じ。前日に会う機会があったので、プリントアウトしておいたタイムテーブルを見ながら二人で作戦会議。前夜の高揚感って良いですよね。アガったまま床に就くが、疲れていたのですぐに夢の中へ。

当日、心配していた雨が降らず一安心。少し遅刻して待ち合わせ場所に着くと、待っていた連れは何故かジャージを羽織ってる。風邪気味で寒気がするそう。マジで?暗雲が垂れこめる出だし。実際に曇ってるし。まぁ、ライブ観てアガれば治るでしょ!と、前向きに出発。

軽く腹ごしらえをして、まずはMOUNTAIN STAGEへ。このステージはデカイ!通路とステージを遮るカーテンが無いので、出入りが自由で楽チン。入退場で混乱が起きないので、この作りは良いですね。音はだだ漏れだけど。とか考えてるうちにThe Subways(ザ・サブウェイズ)がスタート!バック・トゥー・'90s!?あまりのグランジぶりにちょっと唖然とする。ニューウェーブ・リバイバルが一段落したあとは、グランジがまた来るんでしょうか?ベースの女の子が前評判通りかなりキュート。「ベースが女の子のロックバンドにハズレ無し」のジンクス更新、てな感じか。

The Subwaysも良かったのだけど途中で抜けて、個人的に気になっていた雷RIZE図(ライズ)、いや正確にはボーカルのJesseを観にいく。繊細で内向的なアーティストが多い日本のロック界で、Jesseの人となりは貴重かと。「RIZEです!ファッキュー!!」とか「99%手首が痛い」とかのMCにハマる。こういう図太さみたいなもの、良いですね。

次はHER SPACE HOLIDAY(ハー・スペース・ホリデイ)を観に今年から新設されたHMV DANCE TENTへ。ダンステントと言いつつこの会場、踊りにくい!!なんせ、日除けの屋根があるだけなので、横から陽光が差し込んで明るいあかるい。照明全開のハコなんてないよね。来年は暗くして欲しいな、ホントに。HER SPACE HOLIDAY自体はサイコー!でした。エレクトロニカなサウンドにタトゥーだらけの腕は似合わないなと思っていたのですが、元ハードコア・バントの人と聞いて納得。

猫ひろし(大盛り上がり!)を見つつ、お昼ごはんにチキン・ケバブ・ライスを食べてから、ZAZEN BOYS(ザゼン・ボーイズ)を観にISLAND STAGEへ。「絶対に入場規制がかかる」という連れの予言を信じて、一つ前のJohnny Panic(ジョニー・パニック)からいることにする。Johnny Panicは、なんて言うかハード・ロック?しかもオーセンティックな。ロンドン出身とは、にわかには信じられない音でした。

そしてJohnny Panicが終わるなり人がドッ!と雪崩れ込んでくる。案の定入場規制に。場内は既にぎゅうぎゅうなのに、なぜか主催のクリエイティブマンはもっと人を入れようとする。無理だよ!見れば分るでしょ!なのに「右に詰めて!」とスタッフ。「詰めて下さい」だろ!と怒鳴りたいのをグッと我慢する。

すし詰めのまま時間だけが過ぎる。時折、入り口がある左側からグワッと人の圧力がかかる。PAスペースは崩壊寸前。30分程たってから、一時休止するので全員退場してくれと言われる。ファック!!近くの女の子が「このアホんだらボケカス$☆&#Ω」と凄い剣幕で怒鳴り散らす。仕切りの悪さにあきれて呆然。

さすがにヘイトな感情になる。ZAZEN BOYSは中止ではないものの、再開の目処が付いてないので観るのを諦めることに。連れはZAZEN BOYSを一番楽しみにしていたので、さすがにヘコんでいて可哀相…。けが人がでなかったのが不幸中の幸い。気を取り直して移動する。

RAM RIDER(ラムライダー)を観に再びHMV DANCE TENTへ。まだ始まっていなかったので、空いていた椅子に座ってビールを飲む。昼から晴れてきてとにかく暑いなとボンヤリしていると、いつの間にかブースにRAM RIDERのTシャツを着たレコ屋の店員みたいなメガネ男子が一人ヘッドフォンをかけて立っている。みんな見向きもしないけど、あの人がRAM RIDERなんじゃ?と思った瞬間にBECK(ベック)の『Loser』をスピン!しかも小沢健二の『今夜はブギーバック』とのミックスだ!ワッと前へ行って踊る。しかしロックだったのは最初だけで、その後は普通にクラブミュージック中心のセット。けれどここはクラブじゃなくて、炎天下のロックフェスの会場。選曲が良いとはいえ、全くと言っていいほど人が集まりませんでした。ラストで「今日は一緒に遊んでくれてありがとう!」と言おうとしたが「ありが&$#%」と噛んでしまって、自信なさげに首を振るRAM RIDERが印象的でした。多分、凄く良い人なんだろうな。それと、やっぱり暗くなきゃ踊りにくいよ!!

幕張メッセに戻ってMEW(ミュー)を鑑賞。幽玄なボーカルが心地よくて寝れそう。実際にステージ後方では、かなりの人数が寝ていました。MEWは凄く好きなのですが、アゲたい気分だったので途中退場。今になって考えると最後まで観ておけば良かったな、失敗。

電気グルーヴ×スチャダラパーに到着すると、なにやらコントみたいなことをやってました。しかもグズグズのグダグダ。これじゃアガんないよ!!会場は盛り上がってたけど、私は早々と退場しました。後から聞いた話だとラストに演った『Twilight』はサイコーに盛り上がったそうです。良いな、観たかったな…。

THE TEARS(ザ・ティアーズ)を観に行く途中にスクリーンでDEEP PURPLE(ディープ・パープル)をチラ見。SONIC STAGEに到着するとセットチェンジ中。さすがに疲れてきたので仮眠を取る。開幕後、連れはDOPING PANDA(ドーピング・パンダ)を観にISLAND STAGEへ。THE TEARSは、毒気の抜けたsuede(スウェード)と言った感じか。サッパリとしていて、私は物足りなく感じました。なにはともあれ、ブレット・アンダーソンとバーナード・バトラーが一緒に演るのは大賛成!常に歌いまくるバーナードのギターが印象的でした。

連れと合流してDOPING PANDAを観る。お目当ては、とにかくキャッチーな『Hi-Fi』。MCで自分たちのことをダンスバンドと称してましたが、踊ってる観客は皆無。踊れる曲でもみんなピョンピョンと飛んでました。それはさておき、『Hi-Fi』は耳に残る!観終わった後もしばらく口ずさんでました。

さぁ、IAN BROWN(イアン・ブラウン)だ!!お世辞にも格好良いとは言えない上下のジャージで登場した彼は、しかしとてつもなく格好良いのであった。一曲目が始まった瞬間、一気にアガる!THE STONE ROSES(ザ・ストーン・ローゼス)の『I Wanna Be Adored』だ!のっけから!!観客は少ないけれど、会場のボルテージもアガる!私は、THE STONE ROSESのファーストをディスクガイドの名盤紹介で知って購入した後追い組みなのですが、自分でも驚く位に感動しました。「THE STONE ROSESの曲には魔法がかかっている」と言う他ありません。ソロでの名曲『My Star』を演らなかったのが残念ですが、幸せな時間を過ごせました。ありがとう!IAN!!

いよいよ大トリのNINE INCH NAILS(ナイン・インチ・ネイルズ)!今年は入場規制がかかっていなかったので、アリーナへと降りる。スクリーンにアップで映るトレント・レズナーを見てビックリ!太ってる!ドラッグ止めると太るのかな?髪も短く刈っていて以前とは別人のよう。しかし、クリーンになったからか遠めに見ても集中力の高さがうかがえる。この日に観たアーティストの中で間違いなく一番気合が入っていた。観ているこっちも気合が入る。

ライブを観て再確認したのだけど、この人は歌が上手い!トラックメイカーとして名を馳せているけれど、ボーカルとしても魅力的です。ファーストから新譜まで、まんべんなく選曲されたセットリストも完璧で熱くなる。

そして、この日の個人的ハイライトはラス前の『starfuckers, Inc.』で訪れた。ラウドなサビから一転、静かになる中盤のパート。トレントが「Don't you?」と繰り返して歌いながら声をひそめていく。完全にステージからの音が消えた場内には、オーディエンスの「ドンチュー?」という大合唱が繰り返し響いていた。この瞬間、今まで眉間にしわを寄せ鬼気迫る表情をしていたトレントの顔が嬉しそうに笑顔でほころんだ。そしてまた爆発的なサビへ。このときの場内の一体感は感動的でした。

ラストは問答無用のキラーチューン『Head Like A Hole』。一緒に歌いまくって完全燃焼。最近は熱心に聴いていなかったNINだけど、すっかり惚れ直しました。ドラッグを使わなければ見えない世界はもう十分に覗いたはず、今後はクリーンなままで精力的に活動して欲しいですね。過去最高のバンドメンバーを得たトレント・レズナーは、今一度ロックの最前線に帰還した。そんな最高のライブでした。

総評。山という地の利があるFUJIROCK FESTIVALとは違って、都心で行われるサマソニは「いるだけで楽しい」感は低く、「各アクトの満足度=フェス全体の満足感」になるように思えました。

私は、途中までは去年ほど楽しめなかったのですが、IAN BROWNとNINE INCH NAILSで全て好転。なんだかんだ言って良い思い出に。と言う訳でベスト・アクトはNIN!よしっ、来年も行くぞっ!!

えらく長いレポートになりました。最後まで読んでくれた人、ありがとう!

評点(10点満点)

【7点】仕切りの悪さを改善して欲しい。

タイトル:
『サマーソニック05』レポート
カテゴリ:
音楽
公開日:
2006年09月08日
更新日:
2018年05月30日

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