『ザ・アンクエスチョナブル・トゥルース(第一幕)』リンプ・ビズキット レビュー

まずは、冒頭2曲の鬼気迫る切迫感が凄まじい。まるで、新人バンドのような勢いのある音でリンプ・ビズキットは復活を遂げた。

ミクスチャー・ロック、へヴィ・ロックムーブメントの顔的存在だった彼らだが、中核メンバーのギタリスト、ウェス・ボーランドが脱退後は、セールスも下降。ムーブメント終焉もあいまって、バンドの行方が危ぶまれていた。

しかし、ここへきてウェス・ボーランドが突然の再加入。二度とないと思われていた、彼のカムバックが実現した。離脱後に、これといった音楽的成果を出していないまま、彼が古巣に戻るのは、なにやら頂けない話だが、それは本人が一番承知しているだろう。だからなのか、本作でのギタープレイは今までにないくらいの焦燥感と切迫感にあふれている。

ライブ感のあるサウンド、簡素なアレンジ、スレイヤー調のギターリフにのるフレッド・ダーストのラップは扇動的で、覇気を取り戻した。遊びが無くなり、ハードコアな様相すら呈している。

北野武は「スクリーンを通して内面の感情が伝わるなんて考えは、役者の思い上がりだ」なんて言っていた。スピーカーを通して感じる感情の高ぶりは、錯覚なのかもしれない。だけれども、「信じれば其処に在る」と思いたい。そういう青臭さがロックの真髄ではないか。音に感応して感情がはじける。「もっと!もっと!!」今まで以上の、高い沸点でリンプ・ビズキットが帰還した。

評点(10点満点)

【7点】第二幕は出ない?

タイトル:
『ザ・アンクエスチョナブル・トゥルース(第一幕)』リンプ・ビズキット レビュー
カテゴリ:
音楽
公開日:
2006年09月03日
更新日:
2018年05月30日

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