ギターアンプ『VOX Pathfinder 10』レビュー

長年使っていた自宅練習用ギターアンプが壊れてしまったので、新調することにしました。「自宅では大きな音を出せないし、とりあえず安いのでいいか」と軽い気持ちで購入したVOX Pathfinder 10は、安価だからとあなどれないギターアンプだったのです。

デザイン

まずはルックスがいい。ダイヤモンド柄のグリルクロスと、金色のエンブレムが目を惹くデザインが秀逸です。これは定番のAC30シリーズと同じデザインですね。

高価なモデルをより魅力的に見せるため、安い価格帯のモデルを意図的にチープなデザインにする商法は一般的です。そういった手段を取らなかったVOXには拍手を送りたい。

ノブ(つまみ)がクラシカルな見た目のチキンヘッドなのも気に入りました。サイズも大き目で操作しやすいです。

エレキギターを手にする理由って「なんか格好いいから」だったりしますよね。その気にさせるルックスは大事です。その点でVOX Pathfinder 10は文句なしです。

クリーントーン

ルックスがよくっても、サウンドが駄目なら台無しです。VOX Pathfinder 10は、その点も抜かりなし。特にクリーントーンは、実売5千円強のギターアンプとは思えません。

ワウンド弦(巻弦)とプレーン弦のトーンの違いがちゃんと出ています。ピッキングへの反応も良好です。甘いトーンに調整するのがお気に入り。とても気持ちよく弾けます。

オーバードライブをオフにしていてもゲインが有効で、全開にするとシングルコイルでもわずかに歪みます。EQとは別に、トーンの微妙な調整に使えます。

オーバードライブ

オーバードライブのスイッチを入れると歪みます。「クリーントーンはいいけれど、オーバードライブは駄目」という評判を前もって読んでハードルが下がっていたせいか、割と好印象です。

ディストーションペダルよりも安いトランジスタアンプに高品質の歪みを求めるのは、さすがに酷というもの。価格を考えれば十分なサウンドかと。

とはいえ、フルテンにするとジャージャーいうだけなので、EQとゲインを調整して、使えるトーンを探り当てる必要はあります。また、ゲインをフルにしても歪みは軽いです。モダンな歪みはまったく出せません。

実売5千円強のギターアンプだからと割り切れば、そこそこ使えるオーバードライブです。割り切れないタイプの人は、普通にもっと高価なギターアンプをおすすめします。

イコライザー

EQはハイとローの2バンドのみ。一般的なギターアンプに搭載されているEQのハイとローとはQが少し違うようで、ちょっと癖のある変化をします。2バンドにしては作れるトーンの幅が思いのほか広くて、音作りを楽しめました。

ヘッドホン/ライン出力

ヘッドホン/ライン出力からのサウンドは、文字どおりライン感丸出しです。また、余計な歪みも感じました。ヘッドホンで聴くサウンドは、お世辞にも気持ちがいいとはいえません。長時間ヘッドホンで弾く場合は、素直にアンプシミュレーターを使いましょう。

amPlug AC30
メーカー:
VOX

AC30のサウンドを再現した、ヘッドホン用のアンプシミュレーター。ギターに直接挿してヘッドホンへ出力できます。

そのほかのスペック

サイズは、幅38cm、高さ26cm、奥行き17cmです。重さは4.8kg。コンパクトで軽いうえに、後面解放型だから電源ケーブルを中にしまえるので、持ち運びは楽ちん。

出力は、自宅練習用として必要十分な10W。ボリュームをマックスにすると、日本の一般的な住宅では、近所迷惑になるくらいの音量になります。

というわけで

音量をあまり上げられない場所での練習用なら、このVOX Pathfinder 10で十分かなと。歪みは、結局エフェクターで作ってしまう場合が多いですから。

ギターと並んでいると絵になるから、弾いていないときも目で楽しめます。ルックスを気に入ったら、特に満足度が高いでしょう。

VOX Pathfinder 10は、ネット口コミの評価が高く(特にクリーントーン)、低価格ギターアンプの定番扱いになっているのも納得の機器でした。ただし、あくまで価格を踏まえた上での評価だということをお忘れなく。

ほかの人の感想も知りたい場合は、サウンドハウスに投稿されたレビューが参考になります。では、良きギターライフを!

VOX Pathfinder 10
メーカー:
VOX
型番:
V9106
出力:
10W RMS
スピーカー:
VOX Bulldog 6.5" x 1 (8Ω)
タイトル:
ギターアンプ『VOX Pathfinder 10』レビュー
カテゴリ:
音楽
公開日:
2013年04月19日
更新日:
2017年10月18日

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