青淵文庫と晩香廬[王子]
東京都北区の飛鳥山公園にある渋沢史料館では、大正期に建築された晩香廬(ばんこうろ)と青淵文庫(せいえんぶんこ)を公開しています。国の重要文化財に指定された建物です。
予備知識
渋沢栄一は、近代日本経済社会の基礎を築き、「日本資本主義の父」と呼ばれています。また、理化学研究所の創設者でもあります。
旧渋沢庭園は、渋沢栄一が初めは別荘として、後に本邸として過ごした曖依村荘(あいいそんそう)と呼ばれていた邸宅の跡地です。その建物の多くは、1945年の空襲で焼失してしまい、青淵文庫と晩香廬の2棟だけが旧渋沢庭園に現存しています。
青淵文庫
青淵文庫は、渋沢栄一の傘寿(80歳)の祝いと、子爵昇爵の祝いを兼ねて、竜門社(現・渋沢栄一記念財団)が贈った建物です。書庫として使われました。「青淵」は、渋沢栄一の雅号です。
鉄筋コンクリート構造の2階建てで、1階が閲覧室、2階が書庫になっています。渋沢家の家紋が意匠として使われている洋館です。
閲覧室に入ると、素敵なステンドグラスとシャンデリアが出迎えてくれます。
このステンドグラスは、渋沢家の家紋である「丸に違い柏」を題材にして、「壽(ことぶき)」の飾り文字があしらわれています。
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柏の葉は、神前に供える供物の器代わりに用いられた。これに由来して、柏は神聖な木と見られるようになり、文様に使われるようになった。
ステンドグラスの右端にちらりと見えるのは登り竜。左側のカーテンの陰には降り竜がいるそうです。青淵文庫の贈り主である竜門社が、渋沢家を見守る意匠になっています。なんだか『ダ・ヴィンチ・コード』みたいですね。
絨毯にも「壽」の飾り文字が。四方を取り囲んでいるのはコウモリでしょうか。
ステンドグラスと絨毯のほかにも、「壽」が多数隠されているそうです。
晩香廬
晩香廬は、渋沢栄一の喜寿(77歳)の祝いに清水組(現・清水建設)が贈った建物です。内外の賓客を迎えるレセプションルームとして使われました。
晩香廬の室内は撮影禁止だったため、写真はありません。
小さい建物ながら、いたるところに意匠が凝らされていて、見応えがあります。
アクセス
情報更新 | 2013年8月 |
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施設名 | 渋沢史料館 |
住所 | 東京都北区西ヶ原2-16-1 飛鳥山公園内 |
電話番号 | 03-3910-0005 |
アクセス | JR王子駅から徒歩で約5分 都電荒川線飛鳥山停留所から徒歩で約4分 |
開園時間 | 午前10時から午後5時まで ※入園は午後4時30分まで ※青淵文庫と晩香廬の公開は午後3時45分まで |
休園日 | 月曜日(祝日は開館) 12月28日から1月4日まで |
入館料 | 一般 300円 |
駐車場 | なし |
後記
晩香廬の室内は撮影禁止。青淵文庫も室内で撮影が許されているのは閲覧室のみです。現地でなくては見ることのできないインテリアが多数あるわけで、建物好きなら一度は訪れたい大正レトロな建物でした。
- タイトル:
- 青淵文庫と晩香廬[王子]
- カテゴリ:
- 建物探訪
- 公開日:
- 2013年08月02日
- 更新日:
- 2014年04月15日