ばっかり食べの正体

食卓に並んだ料理を一品ずつ順番に完食していく食べ方を「ばっかり食べ」と呼ぶそうです。このばっかり食べをする人の食事風景を見るたびに、食べる順番とはまた別の違和感を覚えていました。はたして、その違和感の正体とは?

違和感の正体

その違和感の正体は、気付いてみればなんてことはない、単純なものでした。ばっかり食べをする人たちは「ごはんとおかず(の味)を口の中で混ぜていない」のです。

そしてこの違和感の正体は、ばっかり食べの正体でもありました。口の中でそれぞれの料理の味が混ざるのを避けているのが原因となって、一品ずつ完食していく食べ方になるのです。ばっかり食べは表層で、本質は「味を混ぜない食べ」だったのです。

この気付きによって、食べ方にまつわる他の疑問も連鎖的に腑に落ちました。

なぜ、お寿司のネタとシャリを分けて食べるのか?

以前、ある女性タレントが「丼物の意味が分からない」とテレビで発言していました。ごはんの上におかずが乗っているのが嫌だというのです。彼女がなにを嫌がっているのか当時は理解できませんでしたが、今ならわかります。味を混ぜたくないのですね。ごはんにおかずの味が染みるのが許せないのでしょう。

お寿司をネタとシャリに分けて食べる人がいるのも、口の中で混ざるのが嫌だからだったのか!

ばっかり食べをする知り合いは、なにを食べるときもコーラでした。口の中で味を混ぜないから、料理と飲み物の相性は関係ないのですね。

味を「混ぜない」と「混ぜられない」は違う

少しずつ順繰りに食べていくことを「三角食べ」と呼んで、基本的にはそれが日本のマナーのようです。ただ、よほどお堅い席でもない限り、ばっかり食べをとがめる人は少ないでしょう。個人的にも、違和感こそ覚えるものの、不快とまでは感じません。

では子供がばっかり食べでも食育上問題ないのか、となるとまた別の話。ばっかり食べとは口の中で味を混ぜないこと。そのまま大人になると「混ぜない」から「混ぜられない」になって、丼物やお寿司などの伝統的な日本食が苦手になってしまいます。それはもったいないですよね。

というわけで

口の中で味を混ぜる「口中調味」は、どうやら日本独自の文化らしいです。だけども食文化の欧米化は今後も加速する一方だろうから、ばっかり食べは増えていくのでしょう。ばっかり食べが前提の「食べる順番ダイエット」も後押ししそうです。

だけれど、一品ずつ味わう懐石料理も、口中調味の妙を味わうお寿司も、両方美味しく食べられたほうが食事を楽しめるに決まってます。せっかく食事の美味しい日本の文化なのだから、口中調味は残っていって欲しいですね。

タイトル:
ばっかり食べの正体
カテゴリ:
食事
公開日:
2013年08月14日
更新日:
2014年04月15日

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