『バタフライ・エフェクト』レビュー

「一匹の蝶の羽ばたきが、地球の裏側で竜巻になることもある」

初期条件の小さな差が、次第に大きく、不確実になり、ついには予測不能となるというカオス理論を、端的に説明する例え話として使われる"バタフライ・エフェクト"がタイトル。これだけで「ピン!」ときたならば、この先は読まず、即行で観たほうが良い。サスペンスは予備知識が少ないほうが楽しめるし、なにより『バタフライ・エフェクト』は最高に面白いからだ。私もタイトルだけで観に行くことを決めたのだが、これが大当たり!これでもまだ観る足掛かりには足りない、もしくは既に鑑賞された方のため、レビューを続けよう。

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「きみを救うため、ぼくは何度でも過去に戻る」が『バタフライ・エフェクト』のキャッチコピー。このコピーから連想されるストーリーを、SF映画・小説などが好きな人ならば、二度三度と観たり読んだりしたことが有るだろう。しかし、『バタフライ・エフェクト』は、通常のタイムスリップものとは一線を画す。ネタバレを避けるため具体的には書かないが、ひねった設定により、定番ストーリーに新鮮な感覚を付与している。その上、アイデア先行におちいりがちな題材を、人間をきちんと描くことにより、数奇な人生群像に昇華し、更には起承転結を積み上げることにより、先が読めない展開が最初から最後まで続くという、実に見事な脚本だ。この手のストーリーには宿命とも言える、矛盾や破綻などが一切無い訳ではないが、それらを払拭するだけの説得力が、この作品には有る。

物語が結末を迎え、サスペンスとしての緊張感から解放されると、胸にはラブストーリーの感傷が残る。紛う方なし傑作だ。

評点(10点満点)

【9点】本作は傑作にもかかわらず上映劇場が少なく、しかも早々と公開が終わってしまった映画。なぜヒットしなかったのか理解できないくらい、素晴らしい一本。

余談

DVDには劇場公開版とは異なるエンディングのディレクターズカット版も収録されているそうです。私は未見ですが、別エンディングもかなり良いらしいですね。

本作のエンドクレジットでoasis(オアシス)の「Stop Crying Your Heart Out」が流れ始めたときに私は鳥肌が立ちました。CDを持っていたものの、それほど思い入れのある曲ではなかったのですが、映画の記憶と結び付いて今では聴くたびに少し胸が熱くなります。

タイトル:
『バタフライ・エフェクト』レビュー
カテゴリ:
映画
公開日:
2006年09月11日
更新日:
2018年05月30日

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