『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』レビュー
大好きな『ウォレスとグルミット』シリーズの待ちにまった新作。『野菜畑で大ピンチ!』は、膨れ上がった期待を裏切らない快作でした。
───年に一度の「巨大野菜コンテスト」まであと数日。発明家ウォレスと相棒犬グルミットは害虫駆除の仕事で活躍していた。ある夜、畑を荒らす怪物の噂が流れて───
さて、今作はシリーズ初の長編映画、となれば気になるのはストーリー。「テイストが変わってしまうのでは?」なんて不安をよそに、シリーズの世界観を踏襲しつつ、映画的ダイナミクスのある物語に仕上がっていました。今回もユーモア&可愛さ満載、85分間頬が緩みっぱなしで「あっ!」というまに過ぎてしまう。
グルミットが見せるシリーズ最高の忠犬ぶりが今回の見所。ウォレスのために奔走する姿は犬好きならたまらないはず。犬好きじゃなくたって、セリフがないことを忘れてしまう「口ほどにものを言う目」は愛嬌たっぷりで、好きにならずにはいられないだろう。その他のキャラクターも魅力たっぷり。絵ではなく粘土ならではの微笑ましい雰囲気が画面いっぱいに広がっていて、それぞれを見てるだけでも楽しめる。
ところで、最近のストップモーション・アニメは動きが滑らかになりすぎて、元来の味が薄れてしまっていると、不満がある人もいるのでは?その点『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』は、登場人物たちにアニメーターの指紋の跡や、表面の微妙なでこぼこを敢えて残すことで、独特のぎこちなさが生み出すストップモーション・アニメ特有の温かみを感じさせている。ストップモーション・アニメ好きの溜飲を下げる、実に良い仕上がりだ。
『ウォレスとグルミット』シリーズ初見の人でもすんなり入っていける『野菜畑で大ピンチ!』。シリーズファンの人も、そうでない人も。ストップモーション・アニメに興味がある人も、そうでない人にも。まさに老若男女が楽しめる、ハッピーでチャーミングな作品です。
評点(10点満点)
【8点】シリーズ未見でも大丈夫。本作が気に入ったら、旧作も是非。
- タイトル:
- 『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』レビュー
- カテゴリ:
- 映画
- 公開日:
- 2006年09月26日
- 更新日:
- 2018年05月30日