FenderのUSAとJapanとMexicoの違いについて

ソリッドボディのエレキギターを世に送り出した楽器メーカーのFenderを知らないギタリストはいないでしょう。けれど、FenderブランドのUSAとJapanとMexicoの違いは、意外とぼんやりとしか知られていません。さて、それらは一体どう違うのでしょうか。

Fender Japanとは

Fender Japanとは、Fender社とライセンス契約している神田商会のブランドです。神田商会は製造工場を持っていないため、製造は他社に委託しています。製造元は公表されていませんが、時期により異なり、現在はダイナ楽器が手がけていると言われています。

つまりFender Japanは、文字どおりメイド・イン・ジャパンの楽器なのです。パーツ類も日本標準のミリ規格で作られています。アメリカ標準のインチ規格を採用している本家Fenderとは、パーツの互換性すらありません。

メーカーも規格も異なるため、Fender Japanと本家Fenderは完全に区別するのが一般的です。

このような背景から、「Fender JapanはFenderではない」と偽物扱いする極端な意見も散見します。ですが正式にライセンスされていますから、偽物では決してありません。工作精度は本家以上だと評価する声もまたあることをお忘れなく。

追記

2015年3月をもってFender社と神田商会とのライセンス契約が終了。Fender Japanブランドは消滅しました。ただし、元Fender Japanの生産ラインはFender社の管轄で継続され、今後は「Japan Exclusive」シリーズとして存続するとのこと。

Fender Japanブランドとしての最終出荷分が大量に出回っており、今のところ割とリーズナブルな値段で販売されています。当然在庫限りで終了なので、これがFender Japan製品を新品で手に入れる最後の機会です。

Fender USAとは

Fender USAが本家Fenderです。Fender USAとは、Fender Japanなどと区別するための便宜的な呼称です。Fenderの公式サイトに目を通せばわかるように、Fender社自体はFender USAという呼称を使っていません。

国名を付けずにただ「Fender」と表記した場合は、通常このFender USAのことを指します。本家ですから、本来は国名を付ける必要はありません。そのため本国アメリカでは、「Fender USA」という表記はあまり使われていないようです。

正式な会社名はFender Musical Instruments Corporationで、登録商標はFenderです。

Fender Mexicoとは

Fender社は、アメリカのコロナと、メキシコのエンセナダに製造工場を構えています。Fender Mexicoとは、メキシコの工場で製造されているシリーズに楽器店がつけた通称です。

Fender Japanと違って、Fender社が直接管理しています。あくまで製造ラインの一つなので、Fenderの公式サイトでは、USAとMexicoは区別されていません。両方まとめて本家Fenderなのです。

主にエントリークラスのギターがメキシコで製造されています。主だったものでは、StandardシリーズとDeluxeシリーズがFender Mexicoです。規格はもちろんFender USAと同じインチサイズなので、パーツの互換性があります(1)

海外の楽器オンラインショップを見ると、メキシコ製とアメリカ製は特に分けられていません。一方、国内の楽器オンラインショップが両者を明確にカテゴリ分けしているケースがあるのは、ブランド信仰の強い日本ならではかもしれません。

ちなみにMexicoは、 MEX(略称)やメヒコ(スペイン語読み)と表記されることもあります。

(1)パーツのモデルごとに差異はあるため、全てがポン付けできるとは限りません。

見分け方

筆者所有のギターはヘッドの裏に生産国とシリアルナンバーが刻印されていた。

ヘッドの裏か表、もしくはネックの付け根に生産国が刻印されています。生産国が記載されていない場合は、シリアルナンバーを下記リンク先の公式資料と照合すれば、生産国と生産年が判別できます。

ただし、ネックは交換できますから、中古の場合は参考程度にとどめましょう。

結局、どれを買えばいいのか

先述したようにFender JapanをFenderとは似て非なるものとして、頭ごなしに低評価を下す口コミもあります。けれども、実際に使っているギタリストからは、工作精度の高さや、個体差の少なさなどを評価する声を聞きます。

Fender Mexicoは組み立てが雑だという話もあります。これも、楽器店で実際に手に取って確認すれば、少なくとも近年に製造されたものは、きっちりしていることが分かります。なかでもRoad Wornシリーズは鳴りが良いと評判です。

「日本製だから、アメリカ製だから」という先入観をいったん捨てて、楽器店で試奏して気に入ったギターを買うのが一番だと思います。趣味性が高いものだから、一目惚れするかしないか、というインスピレーションが大切です。

かくいう私も一目惚れしたFender Mexicoのエレキギターを愛用しています。メヒコ、良いですよ。

タイトル:
FenderのUSAとJapanとMexicoの違いについて
カテゴリ:
音楽
公開日:
2013年05月08日
更新日:
2017年10月18日

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