『ダイ・ハード/ラスト・デイ』感想: 運の悪さは、遺伝する

映画『ダイ・ハード』の公開から早25年。頭は寂しくなったけど、腕っぷしと刑事の勘は衰え知らず、悪い奴らは皆殺し。そんなジョン・マクレーン刑事が、シリーズ5作目にしてついに海を渡る。たとえアメリカじゃなくっても、相も変わらず大暴れするのだ。

あらすじ

息子のジャックがロシアで逮捕されたと聞いたニューヨーク市警察のジョン・マクレーン刑事は、単身ロシアへ渡った。ジャックが出廷する予定の裁判所へ着いたマクレーンの刑事の勘は、またしても大きなトラブルの到来を告げていた……。

ジョン・マクレーンという男

『ダイ・ハード』シリーズの魅力は、ジョン・マクレーンというハリウッド映画を代表するキャラクターに尽きる。意図せず大事件の渦中に陥る「巻き込まれ型ヒーロー」でありながら、一度やるとなったらとことんやる。

この「とことん」がすさまじい。悪い奴らは片っ端から撃ち殺す。生きたまま逮捕したためしがない。それだけならアメリカ映画でありふれたキャラクターだけど、ジョン・マクレーンは、文句や冗談をぼやきながら、しぶしぶやっているのがポイント。

そのぼやきのおかげで独善的な感じが消えて、観客が肩入れできる。他にいるようでいない、稀有なキャラクターなのだ。

バディムービー

バディムービー(1)でもある『ダイ・ハード』シリーズ。気になる今回の相棒は、すっかり大人になった息子のジャック。無線越しだったり、格闘や銃の扱いがからきし駄目だった今までの相棒とは違って、ジャックはかなりの──ジョンにはかなわないけど──やり手。

相棒とがっつり共闘するから、シリーズ過去作とはちょっと毛色が違うかな。ジョン・マクレーンは、アクション面では孤立奮闘が似合うのに、と思いつつも許せるのは相棒が息子だからか。

『インディ・ジョーンズ』シリーズ同様、キャラクターが歳を経るうえで、世代交代を匂わせる存在は避けて通れない道だしね。

(1)主人公が二人組で活躍する映画ジャンル。相棒もの。

アクション

前作の『ダイ・ハード4.0』が、冒頭に緊迫感のあるアパート脱出シーンというつかみがあったのに対して、『ダイ・ハード/ラスト・デイ』は随分スロースターターなのが気になった。

一番盛り上がったのは、クライマックスじゃなくて序盤のカーチェイスシーンだし、アクションの配分がうまくない。

スクリーンサイズもシリーズ初(2)のビスタサイズ(1.85 : 1)に縮んだため、スケールダウンした印象を受ける。

前作にあった車でヘリコプターを墜落させるような、ジョン・マクレーンならではの無茶なアクションがもっと欲しかった。

(2)前作まではシネマスコープ(2.35 : 1)。

ブルース・ウィリス

なんだかんだで不満を覚えつつも、スクリーンに惹きつけられたのは、ブルース・ウィリスの吸引力のおかげ。『ダイ・ハード』で一躍映画界のスターへ駆け上がってから、25年もトップでいつづけたのも納得。そのあいだに、いったい何人のスターたちが消えていったことか。

ジョン・マクレーンは、そんなブルース・ウィリスの一番の当たり役なのだから、そりゃ魅力的なのは当たり前。

近作の『LOOPER/ルーパー』では精細さを欠いた印象だったけど、どうらやそれは役作りだったようだ。『ダイ・ハード/ラスト・デイ』のブルース・ウィリスは、生き生きしていてこっちまで元気が出る。

邦題

原題は、『A Good Day to Die Hard』ということで、「ダイ・ハード日和」てな感じだろうか。「It's a good day to die.(死ぬにはいい日だ)」という慣用句をもじってるらしいけど、それにしても邦題の『ラスト・デイ』はひどい。なんせ「最後の日」な要素はゼロなのだから。

最近、煽るだけの安っぽい邦題が増えた気がします。

ネタバレ

ジャックが、父親のジョン・マクレーンが敬遠していたCIAのエージェントになっていたのが面白い。それでいてCIAを選んだ動機は、おそらく父親への憧れなのだから皮肉が利いている。

この微妙な親子関係が、本作における美点といって過言ではない。このアイデアのベースは、ブルース・ウィリスの発案だというのだから、ブルース・ウィリスさまさまだ。

コマロフやその娘のイリーナの立場が二転三転するのがストーリーの趣向なのだろうけど、どうにも「( ´_ゝ`) フーン」くらいにしか感じなかった。これは、監督のジョン・ムーアの力不足によるものな気がする。

ジョン・ムーアという監督は、はったりは効いているけど中身の薄い映画を撮るので、どうにも好きになれません。

お気に入り度

ジョン・ムーアが監督に決まってからしていた嫌な予感が的中。「シリーズ最低作」という評判どおりの凡作でした。アクション映画としての平均水準はクリアしているけれど、『ダイ・ハード』シリーズに課せられた高いハードルは越えていません。

それでも、ジョン・マクレーンの桁違いな魅力で、結局は楽しく鑑賞したのも確かです。というわけで、『ダイ・ハード/ラスト・デイ』のお気に入り度は、大甘の65%です。

タイトル:
『ダイ・ハード/ラスト・デイ』感想: 運の悪さは、遺伝する
カテゴリ:
映画
公開日:
2013年02月21日
更新日:
2015年02月14日

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