『パーティ★モンスター』レビュー

舞台は90年代初頭、ニューヨークのクラブシーン。クラブといっても音楽マニアが集うハコではなく、もっと猥雑で過激なパーティが繰り広げられていて、ドラッグが蔓延している退廃的なクラブ。ゲイもストレートもバイセクシャルも、皆きらびやかで奇抜なファッションに身を包み、刹那的に夜を踊り明かす。そんなクラブ・キッズたちのカリスマだったパーティ・プロモーターのマイケル・アリグの成功から破滅までを描く。

マイケルは実在の人物で、彼の親友だったジェイムズ・セント・ジェイムズが執筆した暴露本「ディスコ殺人事件」を原作としたフィクション映画が『パーティ★モンスター』だ。フィクションとはいえ実話をベースにしているので、当時のクラブシーンをリアルに追体験できる。

マイケル・アリグを演じるのは、天才子役だった、かのマコーレー・カルキン。9年ぶりの映画出演になる彼の演技は、良い意味で「ただそこにいるだけ」といった奇妙な存在感をかもし出している。ジェイムズ・セント・ジェイムズを演じるセス・グリーンの正統的な演技とは対照的だ。二人のコントラストがスリリングな緊張感につながり、浮き世離れしたキャラクターにもかかわらずぐいぐいと惹きこまれてしまう。

クラブシーンそのものではなく、マイケル・アリグという人間に焦点を合わせているので、ドラッグやゲイ・カルチャーに興味がなくても十分に楽しめる筈だ。私は映像目的で劇場に足を運んだのだが、むしろ映像よりも物語の方が強く印象に残った。それだけ秀逸な人生劇として仕上がっている。

私は、この作品のあまりの面白さにすっかり入り込み、劇場を後にしてからもしばらくは興奮が冷めないままでした。惹かれるポイントが一つでもあれば、観て損はしない良作です。

評点(10点満点)

【9点】ツボに入りました。

タイトル:
『パーティ★モンスター』レビュー
カテゴリ:
映画
公開日:
2006年09月17日
更新日:
2018年05月30日

この記事をシェア

あわせて読みたい