アニメ『惡の華』第7話感想
ネタバレあり
学校を休んだ佐伯奈々子の家へプリントを届けた春日高男は、佐伯の母親に促されるままに部屋に上がる。春日と仲村佐和が一緒にいるところを見た佐伯は、二人の関係を心配していた。しかし佐伯は、そのことを春日に告げず、春日を信じることを決心するが……。
おそらく、生まれて初めて女の子の部屋に入った春日くん。パジャマ姿の彼女と二人並んでベッドに座り、手まで取られるという、うぶな男子中高生なら悶絶すること間違いなしのシチュエーション。それでも、体操着を盗んだ罪悪感が興奮を上回る春日くんは、真面目の皮を被った変態です。
その後、中村さんの前にひざまずき、手を合わせ、心情を洗いざらい打ち明ける春日くん。
「中村さんしかいないんだ。佐伯さんに言ってくれ、俺が体操着を盗んだこと、俺の本当の姿を。中村さん!」
春日くんは、中村さんに心を開いているばかりか、主従関係に陥っているのに気がついてません。春日くんが真性のMだと自覚すれば、二人は立派なSMパートナーになれるのに。一方、中村さんはSとしての自覚に芽生えてきたようで……。
「いい顔してるよ、春日くん」
服従のポーズを取る春日くんの頬を優しく触れ、そう言葉をかけました。犬へのご褒美です。アメとムチのさじ加減が絶妙で、優れたSになれそう。
ただ、主人公たちがSMに自覚的だった漫画『月光の囁き』と違って、『惡の華』は思春期の狂気という位置づけのようですけど。
そんなこんなで二人は深夜の学校へ。
「俺は……、俺は普通になりたいんだよ!」
「普通」という地雷ワードを踏んだ春日くんに失望する中村さん。春日くんと二人のときは、いつも外していたメガネをかけました。
「契約は終わり。もう二度と私に口きかないで。さようなら」
春日くんは、中村さんがパートナーの解消を宣言したことによって、平凡な日常へ引き返す──おそらくは最後の──チャンスを得ました。けれどもそのチャンスを放棄して中村さんを引き止めた春日くん。やっぱり変態です。そしてそれは、佐伯さんではなく、中村さんを選んだということなのに、それに気づかぬまま春日くんは一線を越えてしまいました。
無自覚な変態の行く末は破滅だというのに。
それにしても、第7話のクライマックスの演出は素晴らしかったです。春日くんがチョークを宙にばら撒いた瞬間、スローモーションになってEDテーマの"花 -a last flower-"のストリングスが鳴り響いたときは鳥肌が立ちました。
そのままエンドクレジットへ突入するのもたまらない。録画は毎週上書きしているけど、今回ばかりは消すのがもったいない、永久保存版な傑作回でした。
教室に染み付いた馴れ合いの空気を塗りつぶしていく春日くん。
それを見て恍惚の表情で絶頂を迎える中村さん。
二人は遂に、教室に惡の華を咲かせました。
次回を観るのが楽しみのような、怖いような。凄まじい展開になってきました。
余談ですが、教室を墨汁で黒く塗りつぶしていく春日くんを見て、ローリング・ストーンズの名曲"Paint It, Black"が思い浮かびました。邦題は"黒くぬれ!"。歌詞も驚くほどぴったりです。
- タイトル:
- アニメ『惡の華』第7話感想
- カテゴリ:
- テレビ
- 公開日:
- 2013年05月31日
- 更新日:
- 2016年06月19日