アニメ『惡の華』第13話(最終回)感想

ネタバレあり

仲村佐和の部屋に侵入した春日高男は、彼女が思いの丈を書き殴ったノートを見つける。ノートには春日と仲村が共に過ごした日々が書き連ねてあった。そこへ仲村が帰ってくるが……。

中村さんが帰宅していないのをいいことに、彼女の部屋に進入して物色し始めた春日くん。「中村さんの匂いがする」と頬を赤らめて、完全に興奮してます。父親と祖母は在宅してるのにすごい根性です。中村さんの努力の甲斐あって、春日くんはいつのまにか変態として一皮向けましたね。

それにしても、そっけない部屋。佐伯さんの部屋とは大違い、女子力ゼロです。おそらく、中村さんが「クソムシ」と唾を吐きかけているのは、「女子力」みたいな言葉がまかり通る世界に対してなのでしょう。

女子力UP!
編集者:
女子力向上委員会
出版社:
宝島社

女子力、それは「キレイになりたい」と願い、行動する力。自分のキレイは自分で作る。女子力を上げようとチャレンジし続ける女たち、その熱い戦いのレポート。

けれども唾を吐きかけてしまっては、そこに嫉妬の影が落ちて、同じ舞台に立ってしまいます。「あの山の向こう」へ行きたいのなら、無視しないと。中村さんは自分の世界を持っているようで、まだ確立できていません。

中村さんは、まだ学校と家庭しか世界をしらない中学生なのだと思い出しました。ロトスコープの絵柄で大人びて見えるから忘れてしまうけど。

感情を書きなぐった中村さんのノートを見つけるまでの、女子の部屋をあさる背徳感と、部屋の主がいつ帰ってくるか分からない緊張感はすごいものがありました。けれど意外にも帰宅した中村さんはキレることなく、笑顔で「表に出ろ」とジェスチャー。ノートを見られて恥ずかしかったのか、走って逃げ出す始末です。春日くん、形勢逆転だ!

中村さんに追いついた春日くんは、こうつぶやきました。

「中村さん、お願い、お願いだから……一緒に、この街で、この街の中で、向こう側を見つけたいんだ」

「あの山の向こう=ここではないどこかへ」から「この街で=ここで戦え」への変遷。J-ポップ(ロック)における歌詞のトレンドの推移を見ているようです。そういえば、『エヴァンゲリオン』のシンジくんも同じような心情の変化を経ていましたね。

ここから、"花 -a last flower-"に乗せて前回までを振り返る怒涛の総集編がスタート。いろいろあったなと感慨深く観ていると、なんと今後の展開の総集編へそのまま突入。そして最後に画面に映し出されたのは「第一部 完」の文字。今回の最終回は、第一部の終わりに過ぎなかったのです。

いうなれば第一部は「あの山の向こう編」で、第二部が「この街の中で編」といったところでしょうか。

今後の展開については断片的な映像だけだけど、春日くんたち3人は、一線を越えてしまうようです。とにかく不穏な空気は伝わってきました。原作の漫画を読めばすぐに続きが観れるのだろうけど、せっかくなのでアニメ版の第二部を待ちます。

「今度は僕と契約しよう、このクソムシの海から這い出す契約を!」

一皮向けた変態となり、果たすべき目的を得た春日くんが迎える結末は天国か地獄か。 世界を否定した先にあるものを描き切れたならば、第二部はすごいものになりそうです。

タイトル:
アニメ『惡の華』第13話(最終回)感想
カテゴリ:
テレビ
公開日:
2013年07月15日
更新日:
2013年07月15日

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