ドラマ『クロユリ団地~序章~』第10話感想

ネタバレあり

「なぜ、ミノルくんがこの廃墟にいるのか?」という、前編で気になった疑問の答えが、「霊能者の車に乗ってきた」とは……。しかも、ラストで歩いて黒百合団地に帰っていくミノルくん。歩いて⁉いくら恐怖と笑いは紙一重とはいえ、これじゃあ笑いしか起きません。

おまけにミノルくんは、部屋のドアを閉められると中に入れない有様です。たしかに、中にいる人間に入口を開けさせるため、怨霊があの手この手で化かしてくる、という怪談は昔からあります。けれどもそれらは、神社などの聖域や、結界の張られたお堂などの話。なんの変哲もない廃墟の部屋にドアを閉められただけで入れないなんて……。

それなのに、ドアの閉じた車には自由に出入りできる。まったく整合性が取れていません。怪談からテキトーに使えそうな話を持ってきただけ、ずさん極まりない脚本です。

一家心中の理由も取って付けたようなものだし、母親が夫の死を目にしても平然としている理由付けも弱い。恐慌状態だった霊能者が次のシーンでは落ち着きを取り戻していて、主人公に説教しだしたりと、人物描写もいい加減。

母親の過干渉に苦しんだ人が、自分の子供にも同じことを繰り返す、という負の連鎖も、なんで脚本に盛り込んだのか分からないくらい活かされていませんでした。

毎度のことですが、『クロユリ団地~序章~』は、前編の緊張感を後編で台無しにしてしまうのが好きですね。

クロユリ団地
ノベライズ:
堀江純子
脚本:
加藤淳也, 三宅隆太

老朽化した団地を舞台に孤独が呼び寄せる恐怖の連鎖を描くジャパニーズホラーのノベライズ作品。

あらすじ

自殺した父を発見して麗奈は悲しむが、母の郁代は父を非難するばかりで、その死を気にも留めない。霊能者だと自称する三ノ宮は、自分が黒百合団地から少年の霊をこの廃墟まで連れてきてしまったせいだと言うが……。

タイトル:
ドラマ『クロユリ団地~序章~』第10話感想
カテゴリ:
テレビ
公開日:
2013年06月26日
更新日:
2013年07月16日

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