3DS『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』感想: 冒険者ヌルスケの生涯

なんだかんだでやっぱりドラクエって面白い。前評判が悪かった『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』(以下『ドラクエ9』)だって、宝の地図を交換する、すれちがい通信がやたらと盛り上がったし。

『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』のリメイク3DS版(以下『ドラクエ7』)にも、『ドラクエ9』の宝の地図に相当するすれちがい石版なる要素が追加されたと知って、発売日に買ってみました。

すれちがい石版

このすれちがい石版の要素が、遊べど遊べど解禁されません。プレイ時間が7時間ほどでNPCから石版は一応もらえたものの、自分オリジナルのすれちがい石版を手に入れられるようになるまでは、30時間以上かかりました。これは長すぎます。

さらには、レアアイテムが入手できるキャンペーン配信石版は、すれちがい通信で交換できないという謎の仕様つき。配信している店舗が近場にないと、あきらめるしかありません。

というわけで、すれちがい通信で発展する移民の街が完成すると、石版を交換するモチベーションががくっと落ちてしまいました。

たとえば、北海道から沖縄まで、それぞれの地域限定でレア石版を配信して、それがすれちがい通信で交換できたら、日本中に徐々に伝わっていく面白さがあると思うのですが……。

長い長い導入部

なかなか解禁されないのは、すれちがい石版だけではありません。『ドラクエ7』におけるゲームシステムの要となる転職も、20時間ほどプレイして、やっとできるようになりました。『ドラクエ1』ならクリアしてる時間なのでは?

そんな具合に導入部がとにかく長い。プレイしていて「これからホントに面白くなるの?」と不安なったくらい。スマホ全盛のこの時代にリメイクするのだから、もっとテンポアップして欲しかったなと。

薄い冒険感

長い導入部を抜け、本格的に冒険が始まっても、どうにも「冒険してる感」が高まりません。たとえばダンジョンの宝箱。中身はステータスが上がる種や、ちいさなメダルばかり。非売品の装備がほぼ入ってないから、宝箱を見つけてもわくわくしません。

船などの乗り物を手に入れても、新たに行けるようになる場所は少しだけ。シリーズ過去作では、一気に世界が広がる高揚感があったのにな。

鍵で開けられる扉もストーリー関連のものばかりで……。さいごのカギで開けた扉の先にあった宝箱の中身にがっかりしたのはドラクエで初めてです。

ストーリー石版をそろえると新しい地域にいけるようになる、というシステムのせいで段取りを踏まされている印象です。一本道だとしても、プレイヤーをうまく騙して欲しかった。

人間の業

不満ばかり書いたけど、いい点だってもちろんある。それは、人間の業を描いた数々のエピソードです。『ドラクエ7』は、短編集のように、短いエピソードの積み重ねでストーリーが構成されています。

それらのエピソードの多くは、地味に暗かったり、そこはかとなく悲しかったり……。この「地味に・そこはかとなく」がポイント。陰惨な事件の当事者になることもありますが、基本的には部外者として、様々な人間の業を垣間見る感じです。下手すると舌足らずと取られかねない、一歩引いた視線が大人だなと。

結果、人間の悪い点ばかりが目立って、ラスボスの影がとても薄くて倒しがいがありませんけどw。

その他のシステム

敵との遭遇は、『ドラクエ9』でも採用していたシンボルエンカウントです。これがいい感触で、ランダムエンカウントになる一部のフィールドがとてもストレスに感じるくらい。もうランダムエンカウントには戻れません。ちなみに、プレイヤーより弱い敵のシンボルを出現させなくするトヘロスの呪文があるから、ザコとの戦闘は100%回避できます。

それと、やっぱり楽しい転職システム。退屈な序盤で投げ出しそうになっても、ダーマ神殿にたどり着くまではプレイして欲しいです、ぐっと楽しくなるから。

ネタバレ

ネタバレというほどのことではないのですが、冒険者ヌルスケについてすこし。

世界各地の本棚に点在している「冒険者ヌルスケの日記」は、ふとした切っ掛けでちいさなメダルを手に入れたヌルスケが、ちいさなメダルとメダル王を探し求める旅の記録です。

数十年にわたる旅の末に5枚のちいさなメダルを集めるも、メダル王には出会えないところで日記は終わります。その最後の日記があったレブレサックの村にあるヌルスケの墓を調べると、5枚のちいさなメダルが……。

『ドラクエ7』のメダル王からアイテムに交換してもらうには、最低でも45枚のちいさなメダルが必要です。この微妙に漂う哀愁と、幸せな人生だったか否かはヌルスケ本人にしか分からない感じが、『ドラクエ7』を象徴していると思いました。サブストーリーどころか、おまけの小話ですが。

レブレサックの村は、ドラクエ史上おそらくもっとも後味の悪いエピソードの舞台でもありますしね。

お気に入り度

ネットで見かける『ドラクエ7』のレビューに厳しいものが多いのは、ドラクエに課せられたハードルの高さゆえ。確かにドラクエにしては……。でも、そこらのゲームより高水準なのも間違いない。

不満を覚えつつも結局は楽しくクリアしました。サイドストーリーを楽しめる公式ストーリー石版の配信もあるため、まだしばらく遊べそうです。お気に入り度は70%です。

ニンテンドー3DS版 ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち 公式ガイドブック
編集:
スタジオベントスタッフ
出版:
スクウェア・エニックス

限定アイテムの「そうりょのあかし」が手に入るプレゼントコードつき。847ページの大ボリュームで徹底分析。

ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち
プラットフォーム:
ニンテンドー3DS
メーカー:
スクウェア・エニックス

12年のときを経て、『ドラクエ7』が3DSでよみがえる。2画面に展開する新しいレイアウトと、立体視で臨場感が増した世界で迫力のバトルを楽しめる。

タイトル:
3DS『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』感想: 冒険者ヌルスケの生涯
カテゴリ:
ゲーム
公開日:
2013年04月03日
更新日:
2014年04月15日

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