なぜ、最近のテレビはつまらないと言われてしまうのか

テレビはつまらない、という言説をよく見聞きします。たしかに番組の9割強は、お世辞にも面白いとは言えません。でも、よほど好みが偏った人でなければ、1日に1本くらいは楽しめる番組もあるんじゃないでしょうか。

一定の水準に達していて、なおかつ個人の趣味嗜好に合うものが全体の1割にも満たないのは、どんなメディアにも共通していて、テレビに限った話ではありません。

YouTubeやニコニコ動画だって、面白いコンテンツはほんの一握りだけ。そんなネット動画を楽しんでいる人たちからも「つまらない」と言われてしまうのが、テレビの現状です。それもやむなし。なぜってそれは……。

即時性がない

ところで私はというと、結構楽しくテレビを観ています。毎週観ている番組の中から1つおすすめするなら『タモリ倶楽部』です。マイナーな趣味やニッチな業界を主に紹介する番組で、時には視野が広がる切っ掛けになることも。

もしこれを読んで「じゃあ観てみよう」と思ってくれたとしても、放送時間は金曜深夜だけ。スマホでいつでもどこでもネット動画を観られるこのご時世に、放送日程に縛られて何日も待たなければ観られません。そりゃあテレビ離れも進むってもんです。

アーカイブがない

よしんば『タモリ倶楽部』を観てもらったとします。けれど同番組は毎週異なった企画を放送するため、趣味嗜好が合わない回かもしれません。次の回はまた一週間後。さすがにもう観る気は起きないでしょう。

ネット動画なら、過去の投稿をさかのぼって、自分の趣味嗜好の合うものから選べます。1982年から放送されている『タモリ倶楽部』は、1500回以上のストックがあるのに、それらを観る手段は公式には用意されていません。宝の持ち腐れです。

シークできない

いまいち楽しめない企画の回だったとしても、『タモリ倶楽部』には毎週恒例の「空耳アワー」のコーナーが残っています。ネット動画なら、さくっとシークして望みのシーンまで飛ばせるけれど、テレビだとそうはいきません。

望みのコーナーまでテレビの前で待ってるなんて時間がもったいない。結局、丸ごと観るのを止めてしまうでしょう。

ただ、テレビ番組でもシークする方法はあります。HDDレコーダーに録画すればいいのです。

HDDレコーダー

私がテレビを面白いと感じるようになったのは、HDDレコーダーを内蔵しているテレビに買い替えてから。一旦HDDに録画すればシークも自由自在。録画予約しておけば、放送日程にもあまり縛られない。レジューム機能もあるから、中断も再開も好きにできます。

リアルタイムで観るテレビは制限が多すぎて思うよう楽しめません。それがHDDレコーダーに録画することで、テレビの時代遅れな仕組みからある程度解放されて、テレビ番組にも結構面白いものがあると再発見しました。今では、すべて録画してから観ています。

というわけで

テレビがつまらないと感じる理由は、番組の質にあるのではなく、その旧態依然とした仕組みにあるのではないでしょうか。アーカイブがなくて検索性がほとんどないから、自分にとって価値のある番組にたどり着くのがとても難しい。

そのせいで、つまらない番組ばかりが目についてしまいます。昔は、面白い番組に当たるまでチャンネルを変えながら気長に見続けてもらえたのでしょう。スマホが台頭した今では考えられないことです。

繰り返すけれど、自分にとって価値のあるコンテンツがごく一部なのは、 音楽や小説などほかのメディアでも同じはず。また、「テレビを観ると馬鹿になる」と昔から言われていたようなので、番組の質が最近になって特に低下したわけでもないでしょう。

テレビが全面的にオンデマンドに対応すれば、これらの問題は解決するはずだけど、オンデマンドへの対応はどの放送局も中途半端なのが現状です。出演タレントとの契約問題があるのか、地上波との兼ね合いがあるのか、配信されている番組が限定的すぎます。

音楽配信や電子書籍が遅々として進まなかったように、きっとテレビのオンデマンド化も進まないのでしょうね。

タイトル:
なぜ、最近のテレビはつまらないと言われてしまうのか
カテゴリ:
テレビ
公開日:
2014年02月26日
更新日:
2014年04月15日

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